事例でわかる景品表示法:消費者を守り、ビジネスの信頼を築くために


「この商品、本当にこんなにすごいの?」「期間限定って書いてあるけど、いつもこの値段じゃない?」——お店やネットでのお買い物中、こんな風に感じたことはありませんか? 私たちが安心して商品やサービスを選べるように、そして企業が公正に競争できるように、とても大切な役割を担っているのが「景品表示法」です。

正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」。なんだか難しそうに聞こえますが、要するに「嘘や大げさな表示で消費者をだまさないこと」「過剰なオマケで目をくらませないこと」という、ごくシンプルで大切なルールを定めた法律なんです。

景品表示法の二つの柱:不当表示の禁止と景品規制

景品表示法には、大きく分けて二つの大切なルールがあります。

1. 消費者をだまさない!「不当な表示の禁止」

これは、商品やサービスの内容について、消費者が誤解してしまうような表示を禁止するルールです。特に注意が必要なのが、以下の2つのタイプです。

① 優良誤認表示:「実際よりも優れていると誤解させる表示」

品質、規格、その他の内容について、本当はそうではないのに「実際よりも著しく優れている」とか、「競合他社の商品より著しく優れている」と消費者に思わせてしまう表示のことです。

よくある違反事例

  • 「走行距離3万kmの中古車!」実は10万km以上走っていた
    • 中古車のメーターを巻き戻したり、実際よりも少ない走行距離を表示したりするケース。
  • 「有名ブランド牛の肉!」実はブランド牛ではなかった
    • 消費者がブランド品だと信じてしまうような表示でありながら、実際は違う肉を提供しているケース。
  • 「口コミNo.1!」実は根拠のないランキングだった
    • 調査方法が恣意的であったり、アンケート結果を操作したりして、あたかも客観的な評価であるかのように見せかけるケース。
  • 「果汁たっぷり!」実は無果汁ジュース
    • 果汁を一切含んでいないのに、パッケージで果物のイメージを強調したり、果実名を商品名に使ったりして、果汁入りと誤解させるケース。
  • 「飲むだけで痩せるサプリ!」実際にはダイエット効果がなかった
    • 合理的な根拠がないのに、あたかもダイエット効果があるかのように謳う健康食品の広告など。
② 有利誤認表示:「取引条件が実際よりも有利だと誤解させる表示」

商品やサービスの価格、その他の取引条件について、本当はそうではないのに「実際よりも著しく有利」とか、「競合他社のものより著しく有利」と消費者に思わせてしまう表示のことです。

よくある違反事例

  • 「今だけ半額!」実はいつも半額だった
    • 期間限定の割引であるかのように見せかけているが、実際には常にその価格で販売しているケース。
  • 「お徳用セット!」バラ売りと値段が変わらない
    • セット商品に「お徳用」と表示しているのに、個別に購入するのと総額が変わらないケース。
  • 「全額返金保証!」実は複雑な条件があった
    • あたかも無条件で返金されるかのように見せかけているが、契約書や利用規約には細かい返金条件が定められているケース。
  • 「業界最安値!」根拠のない比較表示
    • 他社と比較して最も安いと謳いながら、その根拠となる調査が不十分であったり、恣意的であったりするケース。
  • 「月々〇〇円で全身脱毛!」実は追加料金や高額なプランが必要
    • 低価格を強調しているが、実際には表示された金額でサービスを完結できないケース。
③ その他、消費者に誤解を与えるおそれのある表示

上記の優良誤認表示、有利誤認表示以外にも、内閣総理大臣が指定する表示についても規制があります。最近では、以下のような表示も問題になっています。

  • おとり広告: 実際には在庫がない商品を大幅値引きで宣伝し、来店した消費者に別の高額商品を勧めるといったケース。
  • ステルスマーケティング(ステマ): 事業者が費用を支払って宣伝しているにもかかわらず、それが広告であることを消費者に隠して、あたかも個人の感想や口コミであるかのように見せかける行為。これは消費者が自ら情報を選択する機会を奪うものであり、令和5年10月1日からは景品表示法違反となります。

2. 過大なオマケは禁止!「景品類の提供の制限」

これは、商品やサービスを売るために、高額すぎる景品(オマケやプレゼント)を提供することを規制するルールです。例えば、くじ引きやゲームなどで当たる景品の最高額などが細かく定められています。消費者が景品の豪華さに惑わされて、商品選択を誤らないようにするための規制です。

なぜ景品表示法が大切なの?消費者と事業者双方にとってのメリット

景品表示法は、消費者だけを守るものではありません。公正な市場競争を促し、事業者にとっても多くのメリットをもたらします。

  • 消費者の安心・信頼の確保: 正しい情報に基づいて商品を選べるため、安心して買い物ができます。これにより、事業者への信頼感も高まります。
  • 公正な競争環境の維持: 嘘や大げさな表示が規制されることで、真面目に良い商品を提供している企業が不当に不利になることを防ぎ、健全な市場競争が保たれます。
  • 企業のブランドイメージ向上: 法令を遵守し、正直で誠実な情報提供を行うことで、企業の信頼性やブランド価値が高まります。これは長期的な顧客獲得に繋がります。
  • トラブルの防止: 不当な表示によるクレームや訴訟のリスクを減らし、事業活動を円滑に進めることができます。

景品表示法違反を避けるために、事業者ができること

もしあなたが事業活動を行っているなら、景品表示法違反は会社の信頼を失い、行政処分や課徴金といった重いペナルティに繋がる可能性があります。違反を避けるために、以下の点を日頃から意識しましょう。

  1. 正確で、誇張のない表示を心がける:
    • 商品やサービスの品質、価格について、客観的な事実に基づいた情報を提供しましょう。
    • 「最高」「一番」「世界初」などの強調表現を使う際は、必ずその根拠となるデータや資料を準備し、消費者に明確に示せるようにしましょう。
  2. 根拠を明確にする「不実証広告規制」への対応:
    • 広告表示の内容について、消費者庁から求められた場合、合理的な根拠を提示できないと「優良誤認表示」とみなされることがあります。必ず表示の裏付けとなる根拠を準備しておきましょう。
  3. 広告表示のチェック体制を強化する:
    • 広告を出す前に、社内で景品表示法に詳しい担当者や部署が内容を厳しくチェックする仕組みを作りましょう。
    • 特にウェブサイトやSNSなど、常に情報が更新される媒体は、定期的な見直しが重要です。
  4. 従業員教育とガイドラインの整備:
    • 広告や販売に携わる全ての従業員に対し、景品表示法に関する研修を行い、理解を深めましょう。
    • 自社の事業内容に合わせた広告表示のガイドラインを作成し、徹底することで、違反のリスクを軽減できます。
  5. 消費者からのフィードバックを活用する:
    • 顧客からの問い合わせやクレームの中に、表示に対する誤解や不満がないか、常に耳を傾けましょう。早期に問題を発見し、改善に繋げることができます。
  6. 透明性の確保:
    • 広告やPR活動を行う際は、それが「広告」であることを明確に表示し、消費者に誤解を与えないように配慮しましょう(特にインフルエンサーマーケティングなど)。

まとめ:信頼される表示で、消費者に選ばれる企業へ

景品表示法は、私たちの消費生活を守るだけでなく、企業が社会の中で信頼され、持続的に成長していくための大切な羅針盤です。正直で誠実な表示を心がけ、消費者との間に信頼関係を築くことで、あなたのビジネスはきっと長く愛され続けるでしょう。

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